犬の子宮蓄膿症と乳腺腫瘍1

先日、子宮蓄膿症と乳腺腫瘍の摘出手術をおこないました。今日は避妊していない女の子に多いこの2つの病気についてお話します。

◆子宮蓄膿症

中高齢期の雌犬に多くみられます。この病気は、子宮内に侵入した大腸菌などのバイ菌によってひきおこされる病気です。子宮内は体の免疫のおかげでバイ菌はいない状態ですが、体の免疫力と性周期のバランスが悪いと子宮の内膜が炎症をおこし(子宮内膜炎)、さらに化膿がひどくなり、膿がたまっていく(子宮蓄膿症)になります。大腸菌などが出すたくさんの毒素が体内にまわって、腹膜炎や腎炎、肺水腫、さらに腎不全など多臓器不全で命を奪われることになります。

症状

・元気食欲がなくなる。

・熱がある。

・水をいっぱいのみ、おしっこをいっぱいするようになる。

・陰部からおりものが出ている。

・下腹部が張っている。

治療

子宮蓄膿症になれば、体内に毒素がまわらないうちに、できるだけ早く外科手術で子宮と卵巣を摘出するのがもっとも確かな治療法です。  

今回手術した子は12歳の小型のワンちゃんです。

術前の体重は5.3kgでした。そしてこの摘出した卵巣と子宮は2.1kgもありました。なんと体重の約半分が、ウミで膨れた子宮であったことは驚きですね。この子は陰部からおりものとして外へ出てこなかったので、これだけ子宮が膨らんでしまいました。もしお腹の中で破裂していたら、大変なことです。

病気について