外傷による骨折

整形外科症例が続きました。

当院の犬での骨折の患者さんは、小型犬でほぼ前肢の橈尺骨の骨折です。

今回の小型犬のワンちゃんは悲惨な事故での骨折で、前肢の上腕骨の骨折でした。

とてもかわいそうな事故でした。

骨折は手術が終わっても骨がつくまでは治っていませんので、動物や家族の方や執刀した獣医師の心配やストレスはしばらく続きます。

がんばりましょう!

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整形外科

前十字靭帯断裂

前十字靭帯断裂は年齢を重ねてきた中年齢以降のワンちゃんにおこりやすいです。

膝蓋骨脱臼(膝の関節がゆるい)がもともとあったり、肥満しすぎたり、スポーツドックに多い印象です。

当院では人工材料を使った関節外法という手術方法を行っております。

最近膝の手術を行う場合は、関節鏡で関節内の観察を行うこともはじめました。関節炎の程度や靭帯、半月板の様子を観察していきたいと思っています。これから関節鏡の診断精度を上げていきます。

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整形外科

猫の骨盤骨折

ねこちゃんの完全室内飼育が一般的になっておりますが、時折交通事故での来院があります。

車が無い世の中であれば外飼いも考えられるかもしれませんが、

他にも中毒・ウイルス感染・ケンカなど怖いことはありますのでやはりお勧めはできませんね。

骨盤骨折で問題になるひとつが便の通り道が細くなることでうまく排便ができなくなる、その結果生活の質が著しく低下します。

便の通り道を確保するべく手術します。

術後に排便はうまくいっているようで大きな便が出ていますと本日ご報告を受けました。

   術前           術後

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整形外科

肝臓の生検検査

私が腹腔鏡を導入した理由のひとつには、腹腔内生検検査(一部の組織をとって検査をすること)を負担が少なく実施できることにあります。

たとえば健康診断の血液検査で肝酵素上昇があり内科治療を行っていたが改善が認められない場合は、腹腔鏡下での肝生検がしっかりとした診断治療のためには重要になることがあります。

肝臓の生検検査をするためには、通常の開腹下ではかなり大きな切開(お腹の上からおへその下まで)が必要です。

しかし腹腔鏡下の肝生検では、5mmの傷2か所、または3mmの傷1か所と5mmの傷1か所の計2か所と低侵襲に済みます。

この違いは相当に大きいです。

ただでさえ麻酔をかけて検査することに抵抗があるのに、さらに大きな切開が必要となると獣医師サイドも躊躇してしまいます。

腹腔鏡によって肝生検を実施したことにより、適切な治療を行えるようになる。

なんとなくの肝臓の治療を受けていることでの心配を取り除け、適切な治療方針に舵をとれる。

心配な点がありましたらご相談ください。

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写真のように近くまで寄って観察したり、お腹全体が観察できたりなどと通常の開腹より情報量も多く得られます。

 

 

 

 

 

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腹腔鏡手術

小型犬と猫の腹腔鏡下避妊手術

当院の患者さんの多くは地域がらか小型犬のわんちゃんで、猫ちゃんの来院が多いのも特徴かと思います。そして当院で腹腔鏡下避妊手術を受けられる方の多くも、わんちゃんでは1㎏~3㎏小型犬そして猫ちゃんです。

腹腔鏡手術の導入を検討していた時に、1~2kg台の小型犬と猫は小さいので手術しにくい(難しいのでやらない)との話を聞いておりました。しかし当院の患者さんの多くが手術対象ではないのであれば、腹腔鏡を導入する意味がありません。こういう話は反対にモチベーションが高くなります。腹腔鏡下避妊手術を、犬・猫・体重に関係なく行っております。特に猫・小型犬向けに3mmトロッカーを導入してからは、3mmの傷が2か所と5mmの傷が1か所でおこなえておりますのでさらに傷も小さく痛みが少ない手術がおこなえております。手術日当日に帰宅し食事がとれることもストレスが少ないので良いことですね。

また腹腔鏡の手術は手術時間がとても長くなるとの話もありますが、技術は日々の鍛練と学習により向上します。避妊手術に関しては開腹手術時と変わらない時間(切皮から縫合終了まで30分前後)でおこなっております。

今の手技が完璧だとは思っていませんので、麻酔法・痛みの管理・手術法については全て次の段階へ進めるように常に改善していかなければなりません。こういった改善が他の腫瘍外科や整形外科などの技術向上に役立ったりすることもあって当たり前かもしれませんがすべて繋がっていると思い興味深いです。

人の医療では腹腔鏡手術が低侵襲であること(からだにやさしい手術であること)を証明する論文はすでに発表されなくなってひさしいようです。このことは人医療で腹腔鏡手術が低侵襲であることは常識となったことを意味します。獣医師が推奨する方法は様々かもしれませんが、主観的な意見より客観的なデータは冷静な議論の材料となります。ただ当院のスタッフは現場で見ていて主観的にやさしい手術だと感じています。

当院の避妊手術方法は従来からの開腹手術と腹腔鏡手術のどちらにするかしっかりとご説明させていただき、そして相談し納得してどちらかを選んでいただければと思っております 😛

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上は大型犬用の5mmの長い鉗子

真中は中型犬用5mm鉗子

下は猫・小型犬用3mm鉗子

腹腔鏡手術