診療案内

腹腔鏡手術

「腹腔鏡」を用いた手術とは?傷が小さく痛みが少ない、体に優しい手術方法です。

ひとの手術では一般的な腹腔鏡手術

通常のワンちゃんの避妊手術では、30‐50㎜に渡る傷口と、術後の痛みの原因となる卵巣・子宮をお腹の外に引っ張る操作が必要です。近年、人の医療では腹部手術の約80%が腹腔鏡でおこなわれています。獣医療でも腹腔鏡が手術や検査で利用されるようになりました。

肉眼よりも鮮明で詳細に

腹腔鏡下避妊手術では、おなかに小さな傷(3‐5mm)を3ヶ所開け、そこから「トロッカー」と呼ばれる器具を挿入して手術を行います。その小さな穴からカメラや手術器具を体内に入れ、モニターに映し出された画像をもとに手術を行います。当院で使用している硬性鏡システムは、最新型のフルデジタル・ハイビジョンタイプで、肉眼で見るより詳細に観察できる鮮明な画面で安全に手術が行えます。

物を言わない動物に何をしてあげられるか。考えてみました。

「腹腔鏡」のメリット

  1. 傷が小さい(3‐5mmの傷が3か所)。

    麻酔から覚めた後、痛みを殆ど感じないため回復が早く、早期に普段の生活に戻ることができます。また、傷が小さく組織損傷も最小限なので、手術部位が腫れることが少ないです。

  2. 術後の癒着が少なく消化管機能も早期に回復する。

    お腹の中ではトロッカーを介して手術器具やカメラが患部に直接アプローチできるため、腹腔内のあちこちを手で触れる開腹手術に比べると、癒着(本来離れているべき組織同士がくっついてしまうこと)が起こりにくく、術後の痛みを少なくできるといわれています。

  3. 超音波メスを使用するため安全で、縫合糸による組織反応の心配がない。

    腹腔鏡では超音波メスを使用して凝固・切開を行うので、安全かつ縫合糸による組織反応の心配がありません。

  4. 大きくお腹をきらずにほかの臓器の観察、生検検査も同時にできる。

    大きくお腹を切らなければ出来なかった検査などを同時に行うことが出来る。小さな傷で同時に、他の臓器の観察、生検検査を行うことが可能です。

「腹腔鏡」のデメリット

  • 開腹手術に比べコストがかかる。
  • 開腹手術に比べて手術時間がやや長くなるものの、出血量は少ない。
  • 過去の手術による癒着など何らかの問題がある場合は、開腹手術に切り替えることがある。

現在当院で可能な腹腔鏡手術

  • 避妊手術
  • 腹腔内潜在精巣(お腹の中に残っている精巣)の摘出
  • 膀胱結石摘出
  • 各種生検(肝臓、膵臓、腎臓、腸など)

当院での避妊手術の方法は、腹腔鏡下避妊手術と従来の開腹手術による避妊手術と2つの方法から選んでいただけます。2つの手術法を執刀できる当院の獣医師にどちらを選択されるかご相談ください。