アレルギー検査

アトピー性皮膚炎や食物アレルギー性皮膚炎の説明をすると、犬や猫にもアトピーがあるんですか?と驚かれる事があります。

アレルギーの診断には各種除外をして経過をみながらになるので、原因を知るには時間がかかります。当院でも行なっている血液検査(IgE抗体検査やリンパ球反応検査)はあくまで補助的な役割です。

そんな時に毛や唾液を送れば、アレルギーの診断がわかりますという検査があると頼りたくなるものですが…、高い検査費用には見合わない結果となりますのでご注意ください。エビデンスのある検査なのかどうかは獣医師にお尋ねください。

こんな論文が2019年に出ていまして、注意喚起のため。当時読んだ時はアレルギーで苦しむ動物や家族の方になぜ駄目なのかを詳しく説明できるため助かりました。

Hair and saliva analysis fails to accurately identify atopic dogs or differentiate real and fake samples

Joseph A Bernstein et al. Vet Dermatol. .
 

毛髪と唾液の分析では、アトピー犬の正確な同定や本物・偽物のサンプルの区別ができない

健康な動物7匹(犬6匹、猫1匹);アトピー性皮膚炎の動物6匹(犬5匹、猫1匹);合成毛皮と滅菌生理食塩水11検体。

合成毛皮と生理食塩水を含め、提出されたすべてのサンプルについて、ペットアレルギーの直接検査で陽性の結果が得られた。

本研究で検討されたペットアレルギーのための毛髪および唾液検査は、結果の再現性はなかった。

 

これらの検査は有効性が確認されておらず、獣医療におけるこのような検査に対する規制監督も限られている。

 

皮膚科