犬の子宮蓄膿症と乳腺腫瘍2

◆乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は雌犬の全腫瘍の約50%といわれるほどかかりやすい病気です。 猫の乳腺腫瘍の85%が乳がんといわれるのに対して、犬の場合、「良性」と「悪性」の比率は50%ずつであります。さらに、その「悪性腫瘍」のうち半分があちこちに転移をおこし、その半分は非常にゆっくり転移するものといわれています。ということは、ものすごく極悪のものは25%の乳腺腫瘍になります。

研究報告によれば、初発情前に避妊手術を受けた雌犬が乳腺腫瘍になる確率は、避妊手術を受けていない雌犬の約0、05%。また、初発情と二回目の発情のあいだに避妊手術を受けた場合は約8%。発情二回目と三回目のあいだに避妊手術を受けた場合は約26%となっています。簡単に言えば、小さいうちに避妊手術をしたほうが乳腺腫瘍になりにくいという報告です。

治療

腫瘍の治療には、腫瘍組織の外科的な切除手術のほか、放射線治療、抗がん剤治療、免疫療法などいくつかあります。腫瘍の種類や発現部位、転移の状況などによって、適切な手段を組み合わせて実施していくことになります。

ご自宅では

週に一度は、女の子の場合はワンちゃんの腋の下から内股まで、ていねいになでてあげて小さなシコリができていないかどうか、チェックしてあげてください。たとえ悪性の乳腺腫瘍でも早期発見・早期治療ができれば根治する確率は非常に高くなります。

早期発見・早期治療が、がん治療には重要です。

拡張した子宮によりお腹がパンパンです。乳腺腫瘍が左の第3乳頭から第5乳頭までと右の第5乳頭付近にできています。かなり大きくなっていますので、切除範囲も広がります。術前検査では転移が認められませんでした。乳腺腫瘍は全身状態を考慮して腫瘍周囲を摘出しました。病理検査の結果でまた今後の治療方針を決定します。

病気について

犬の子宮蓄膿症と乳腺腫瘍1

先日、子宮蓄膿症と乳腺腫瘍の摘出手術をおこないました。今日は避妊していない女の子に多いこの2つの病気についてお話します。

◆子宮蓄膿症

中高齢期の雌犬に多くみられます。この病気は、子宮内に侵入した大腸菌などのバイ菌によってひきおこされる病気です。子宮内は体の免疫のおかげでバイ菌はいない状態ですが、体の免疫力と性周期のバランスが悪いと子宮の内膜が炎症をおこし(子宮内膜炎)、さらに化膿がひどくなり、膿がたまっていく(子宮蓄膿症)になります。大腸菌などが出すたくさんの毒素が体内にまわって、腹膜炎や腎炎、肺水腫、さらに腎不全など多臓器不全で命を奪われることになります。

症状

・元気食欲がなくなる。

・熱がある。

・水をいっぱいのみ、おしっこをいっぱいするようになる。

・陰部からおりものが出ている。

・下腹部が張っている。

治療

子宮蓄膿症になれば、体内に毒素がまわらないうちに、できるだけ早く外科手術で子宮と卵巣を摘出するのがもっとも確かな治療法です。  

今回手術した子は12歳の小型のワンちゃんです。

術前の体重は5.3kgでした。そしてこの摘出した卵巣と子宮は2.1kgもありました。なんと体重の約半分が、ウミで膨れた子宮であったことは驚きですね。この子は陰部からおりものとして外へ出てこなかったので、これだけ子宮が膨らんでしまいました。もしお腹の中で破裂していたら、大変なことです。

病気について

猫白血病ウイルスと猫免疫不全ウイルス

今回は猫白血病ウイルス感染症(FeLV)と猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)についてお話します。

◆猫白血病ウイルス感染症(FeLV)は感染しているネコちゃんとの密接な接触によってうつります。感染の危険度は年齢や生活様式によって異なりますが、感染猫との同居、あるいは外でのケンカで感染します。

FeLVに感染すると、はじめは一見健康そうに見えますが、次第に元気がなくなってきます。免疫力が低下するので口内炎、胃腸炎、鼻炎などがなかなか治らず、またリンパ腫や白血病など致命的な病気を伴い最後は亡くなってしまいます。

◆猫免疫不全ウイルス感染症はエイズ症状と似ているために猫エイズとも呼ばれています。感染しているネコちゃんとのケンカで噛まれたりすることでうつる事が多いです。

FIVに感染するとこちらもはじめは元気そうに見えますが、次第に元気が無くなっていきます。免疫力が低下するのであらゆる感染症に抵抗できなくなり、口内炎、胃腸炎、鼻炎などがなかなか治らず、感染末期には人間のエイズのような症状が現れ、最後には亡くなってしまいます。

◆治療

FeLVとFIVともに現時点で有効な治療法がなく、感染したことがわかった場合には発症をおくらせる管理や症状に応じた治療をしていくことになります。

◆予防

FeLVには以前からワクチンがありました。FIVに関しても日本でのワクチン接種が8月から可能になりました。

ともに一度感染し発症すると、治すことができない病気です。お外に出る子で予防を受けている子が多くなれば、感染するネコちゃんの数が減っていきます。お外に出ている子やすでに感染している子と同居している子を守るためには是非予防を考えてください。

病気について

トリミング

トリミングについてお知らせします。

現在日曜日のみトリミングを行っています。若干込み合っていまして予約がとりづらい状況でご迷惑をおかけしています。

当院でのトリミングは、動物病院併設のためシャンプーやカットの前に獣医師による身体検査を実施しています。高齢な子や疾患を抱えている子(たとえば心臓疾患)はご相談ください。十分な配慮を行いたいと思います。またトリミング終了時にはトリミングカードをお渡しいたしますので健康管理にお役立てください。

平日は12時から16時の間に予約制で、皮膚疾患に対しての薬浴シャンプーをおこなっていますのでご利用ください。

うちの手鞠は皮膚が弱いようで湿疹ができやすいです。

いまは、2週間に1度の薬浴シャンプーで落ち着いています。

お知らせ

おもちゃの誤食

今回はおもちゃが消化管内異物になることもあるということについてお話します。

普段なにげなく遊んでいるおもちゃを飲み込んでしまい、大事になる(開腹手術)ことが時々あります。

『ワンちゃんの体に比較しておもちゃが小さすぎた』

『ぬいぐるみがほつれていたけどそのままにしていたため中の綿や布地を飲み込んでしまった』

『スーパーボールを投げたらそのまま飲み込んだ』などがあります。

これらは事前に気づいてあげられそうな問題ですよね。

あとはおとうさんの靴下やお母さんのストッキングなども異物になりますし、おいしいものが入っていたビニール袋や焼き鳥の竹串など匂いが良いものも怖いですね(´□`。)。

腸管内に詰まりますと命にかかわります。

今一度おもちゃの点検をしてあげてください。

病気について

歯周病をふせぐ

うちの手鞠の歯がすべて永久歯に生え変わりました。ただいま4ヵ月半ぐらいですので、早めに生え変わったと思います。歯がかゆくて、いろんなものをガリガリ怪獣みたいに破壊するのも落ち着いてくれると助かります。

犬の歯の数は乳歯が28本、永久歯が42本です。これからはこの永久歯を大事にしていかなければなりません。手鞠は乳歯のときから歯磨きをするまねをしていました。犬用の歯磨き粉が大好きなので歯磨きというより舐めたい舐めたいで大変です。これからもたまに忘れるでしょうが、基本は毎日していきたいと思います。

乳歯が残っていたり、歯磨きをしていなければ必ず歯周病にかかります。まだ小さい子は早めに習慣づけていきましょう。もうすでに大きくなって歯磨きをしていない子は少しづつでもいいのでやってみませんか。ご相談にのりますので診せに来てください。

病気について

ネコの尿路疾患

最近ネコちゃんのおしっこに関する病気で入院する子が多いので、今回は猫下部尿路疾患(FLUTD)の一部についておはなしします。

この猫下部尿路疾患(FLUTD)とは膀胱から尿道におこる、いろいろな原因と症状を含む病気の総称です。今日退院したネコちゃんは初診時ペニスの先に栓子(結晶など)がつまりおしっこが24時間以上出ていなくて膀胱がパンパンになっていました。その結果、腎臓に負担がかかりすぎて急性腎不全になっていました。

さいわい、この子も先週の子も処置と治療に反応があり元気になり退院できました。先日ネコの結石症で載せた子は石が原因ですが、今回は石の手前の結晶が原因でした。

どうして結晶がつまるのか?

これは男の子のペニスの先端の尿道は細くなっています。さらにネコちゃんは砂漠の出身なので水分を大切にするからだの構造になっています。ですからおしっこを濃くします。濃い尿は膀胱の中で結晶を作りやすくなり、そして結晶ができた場合は尿道に詰まりやすいのです。

どうやったら予防できるのか?

まず食事です。これは個人差があるのですが、同じ食事を食べていても大丈夫な子もいれば、結晶ができて詰まる子もいます。できやすい子は尿路疾患用処方食などを食べることでリスクを減らします。次はなるべくお水を飲んでもらい、水分摂取量を増やす工夫です。蛇口から流れる水が好きな子もいれば、お風呂場の水が好きな子もいると思います。そして清潔なトイレをネコちゃんのお気に入りの場所に2箇所は作ってください。あまりおしっこをためこまない事で結晶もできにくいです。

どんな様子がサインなのか?

・おしっこの色が赤くないか。

・トイレの時間が長くないか。

・ペニスをよくなめていないか。

・いきんでいるが尿は出ているか。(便秘と間違われることが多いです。獣医師が触診すればすぐわかります。)

・おしっこするときに叫び声など奇声をあげる。

・トイレ以外の場所でおしっこをするようになった。

・落ち着きがなくなった。

・食欲が無く、もどしている。(これはかなり状態が悪化した様子です。至急処置が必要です。)

あまりにおしっこを出せていない時間が長いと命にかかわります。普段から様子を見てあげて、変化に気づいてあげてください。上に書いたことが気になるかたはおしっこ検査をしましょう。食事についてもアドバイスいたします。

病気について

実習生

今日は獣医学科の大学4年生が実習に来てました。

大学4年生ですとだんだんと臨床に対しての知識も持ち始めた頃だったかなとおもいかえしていました。

ただ僕が4年生のときはまだ実際の現場に実習に行こうなど考えもしなく、夏休みは大学病院のお手伝い・研究のお手伝いなどがなければ遊ぶことばかり考えていたと思います。

それだけに今回の学生さんはよく頑張っているなと思いますよね。

純粋に獣医学を勉強している様子や大学生活など話をして懐かしい思いになりました。楽しかったなぁ。

こちらからも自分が学生のころ抱いていたこの仕事に対する希望や不安について話してあげられたかな?と思います。

また遊びに来てくださいね。

ブログ

お盆

もうじきお盆休みですね。

お盆時期の休みについて、お電話でのお問い合わせがありますのでお知らせします。

今年は特に休みなく診療いたします。通常どおりです。火曜日は休診日です。

来年以降はまた考えてみます。

お預かり中のスティッチちゃん

お知らせ

ネコの尿石症3

結果的に大小あわせて11個の結石を摘出しました。

比較的大きな石も尿道内にあったので、自分に置き換えると大変な痛みであったことが想像できます。

尿結石のリスクは性別・年齢によって変化します。

若い子ではストルバイト結石のリスクが高く、加齢とともにシュウ酸カルシウムのリスクが高くなります。去勢した男の子では3歳ぐらいから、避妊した女の子では7歳ぐらいからシュウ酸カルシウムのリスクが高くなります。

今回のシュウ酸カルシウムは、食事療法では治りません。手術を選択してよかったです。

今後、この子は予防食を食べてもらい、定期的に尿検査をおこなって状態の確認をしていく予定です。

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